妊娠。それは女性にとってとても嬉しいことですが、10ヶ月間赤ちゃんを守り続けることは容易ではありません。妊娠中特に多くなるのが『腰痛』。妊娠中の腰痛になってしまう原因はさまざまですが、今回はそんな妊娠中の方に少しでもマタニティライフを楽しく過ごしていただくためにもその原因と対策法についてお伝えします。
妊娠中に腰が痛くなるのはどうして?その3つの原因
①ホルモンの分泌のより腰痛が起こりやすくなる
『リラキシン』とは、卵巣や子宮、胎盤などから分泌される女性ホルモンのひとつで、主に妊娠中に分泌量が増え、関節や靭帯を緩める作用があります。このリラキシンのおかげでママの産道周辺の関節や靭帯が緩まって分娩時には赤ちゃんがスムーズに出てこられるようになるのですが、この子宮まわりの靭帯などが緩まり過ぎることで骨盤は不安定になり腰痛を起こしやすくなります。
また、妊娠後期や臨月になると、『恥骨痛』なども発生してきます。リラキシンは妊娠後期から特に分泌量が増え、骨盤はさらに不安定になり、赤ちゃんもさらに大きくなることで左右の恥骨をつなぐ『恥骨結合』という軟骨が緩み、それが痛みにつながりやすくなります。
②運動習慣が減ることによる筋力低下
妊娠中はちょっとした動作でもお腹が張ってしまうことがありこの場合は横になるなどして安静にしてカラダを休める必要があります。当たり前のように妊娠前よりも運動習慣も減り運動不足になることで筋力も低下してしまいます。
また動かさなくなることで、筋肉は硬くなりコリが出やすい状態になるので腰痛以外にも肩こりなども出やすい状態になってしまいます。
③むくみからカラダのバランスが乱れる
妊娠中は大きく成長したお腹が静脈を圧迫してしまう影響でカラダ自体がむくみやすくなります。主に足にでてしまうことが多いですが、その足のむくみの影響でカラダのバランスが悪くなることでカラダの動きが悪くなり腰痛を引き起こしやすくなります。
【妊娠時期別】腰痛を改善する対策法
妊娠初期はカラダを冷やさない&リラックスする時間を作る
妊娠初期はリラキシン【骨盤を緩めるホルモン】が出たり、つわりなども出るためホルモンバランスが崩れることによって腰痛が出やすくなります。妊娠初期の腰痛は生理前の腰痛と似た症状がでやすく、腰全体が重たい・骨盤周辺が痛い・背中や腰がだるいなど全体に症状が起こります。
妊娠初期の腰痛の予防はなるべくカラダを冷やさないことが鉄則。冷えることにより血行が悪くなり筋肉が凝り固まってしまいます。腹巻や靴下を身に着けて腰や足元を冷やさないように工夫していきましょう。
また、ホルモンバランスが崩れることにより精神面でもストレスが溜まりやすいこの時期。痛みなどが続きやすい時期なので深呼吸などをしてリラックスする時間も作りストレスをため込まないようにすることも大切です。
妊娠中期は食生活に注意して積極的に運動することが大事
腰痛持ちでもなかった人でもお腹が大きくなることにより腰痛が出てしまいやすいのがこの時期。お腹が膨らむことにより姿勢の変化により重心移動も変わることでカラダは徐々に後方にバランスをとろうとすることで背中や腰にかけて負担がかかりやすくなります。また妊娠中期はつわりも落ち着くことで、食欲旺盛になることで体重が増えてしまいやすい時期。
この時期の予防はまずは姿勢を気を付けることが大事。長時間のスマホやPCなどは姿勢をわるくしてしまう原因のひとつ。画面を見ようとすることで頭が下がると肩や腰にも負担がかかります。理想でいえば目線の位置とスマホやPCの画面の位置は平行にすると負担はかなり軽減されます。食事面では初期と同じくカラダを冷やさないのが大前提。またビタミンEや鉄分・たんぱく質を含む食材は血行を良くする働きがあります。アボカド・レバー・ほうれん草・肉類・大豆・魚類など意識して取るようにしましょう。
妊娠中期のストレッチ法
①猫のポーズ
四つん這いになって猫のように背中を丸めたり反らしたりを繰り返すストレッチです。
1.四つん這いになりおへそを見るように背中を丸めながら息を吐き出してください。
2.息継ぎを入れ、また吐き出しながら今度は背中を無理しない程度に反らします。このとき気持ちが良いと思うくらいの位置で反らせるのが理想的
②腰のツイスト
横になった状態でも行えるストレッチです。骨盤をねじるように腰をツイストさせるので腰痛予防に効果的です。
1.仰向けの状態で膝は立てるようにします。
2.立てた両膝をゆっくり右側へ倒していきましょう。気持ちのいい位置でストップしてその状態で5秒間キープします。
3.その位置から次は左側へ倒し、同じことを繰り返します。この動作を2~3回繰り返してください。
【注意】
お腹の張りがある方はストレッチは控えてください。またストレッチ中にもお腹の張りを感じるときは中止して様子を見るようにしてください。
妊娠後期はスムーズな出産をするためにも股関節を柔らかくしましょう
妊娠10か月を迎えるとママのカラダも待望の出産に向けて大きく変化していきます。臨月の腰痛は骨盤への負担が原因で起こる場合があります。臨月になり赤ちゃんが下がってくると、骨盤の中に頭がすっぽりとおさまり骨盤に負担を与える可能性があります。
また大きなおなかを抱えることにより後ろに反りかえるような体勢が続くので腰に負担がかかり続けるのは当然のこと(笑)
その痛みを改善していくには毎日のケアがやはり大事。産前も大事ですが産後も身体にはかなりの負担がかかるので産後のカラダのためにもしっかりケアしていきましょう。
スムーズな出産をしていくためには『股関節を緩めること。』
ウォーキングは下半身を強化し、関節などの動きをスムーズにしてくれるため、安産に繋がるとっても効果が期待できる運動です。また下半身に筋肉がつくことで血流も良くなり、妊娠後期~臨月に特に多い足などのむくみや妊娠高血圧症候群の予防にもなります。
【マタニティの効果的な歩き方】
歩くときは『骨盤の動き』に注目しながら左右の腰を突き出ししっかりと足を踏み出すように歩くと高い筋力アップが期待できます。
【安産呼吸法】
安産で大事になるのが呼吸。呼吸といっても酸素を多く取り込める腹式呼吸が大事。
1.ゆっくりとお腹がふくらむことを意識して感じながら鼻から空気を吸い込みます。【3秒】
(注:大きく息を吸い込むと力が入るため、できるだけ自然体で吸い込むように。)
2.カラダに取り込まれている空気をすべて吐き出すように口からゆっくり息を吐いていく。
(10秒ぐらいかけて長ければ長いほど効果ありです。)
これを10回ほど繰り返します。
呼吸法は体調のすぐれない時でも行えます。出産をスムーズにおこなうためには呼吸リズムはすごく大事ですね。毎日の習慣としてやってみてください。