カラダのほぼ中央に構えるのが『骨盤』。その骨盤には2つの重要な関節があります。骨盤と足をつなぐ『股関節』と骨盤の脊柱をつなぐ『仙腸関節』です。
股関節と仙腸関節はそれぞれ大切な役割を担っています。姿勢や生活動作、そしてスポーツにも深い関わりがあります。さらに『骨盤の歪み』を気にする人は多いですが、この骨盤の歪みの背景には股関節・仙腸関節が必ず関係しています。この機会にぜひ股関節と仙腸関節の作りと働きを頭に入れていただき、正しい動作や姿勢を手に入れてくださいね。
股関節は常に頑張る働き者
座る、立つ、歩く、走る。私たちが何気なく毎日行っているほとんどすべての動作で、しっかり働いてくれているのが股関節。寝る以外の起きている間は常に股関節は働いてくれています。
股関節は骨盤の横にある凹み(寛骨臼)に、大腿骨の丸みを帯びた凸型の先端(大腿骨頭)がはまった作りをしている。その形状から『臼状関節』といわれます。
股関節はさまざまな特徴を持っていますが、なかでも特に注目したい2つのポイントがあります。
特徴①股関節は人体最大の『荷重関節』
『荷重関節』とは体重を支えている関節のこと。座った姿勢から立つだけでもカラダの重みが上からずっしりと加わったり、歩いたり走ったりすると、大腿骨頭は上へ上へと強く圧迫されてしまいます。
特徴②股関節には骨同士が接する関節面が前側にはないこと
股関節には骨と骨が接する関節面が上部と内側に2つあり、前側にはないこと。テーピングをするように丈夫な靭帯が周囲を幾重にも固めるとはいえ、前側に『壁』がないために大腿骨頭が前へ移動しやすい。日常生活やスポーツを正しくスムーズに行うためには大腿骨頭を自然なポジションに収め、骨盤を安定させて股関節がしなやかに動けるように切り替えることが大切。
股関節は合計6パターンの動きを使いこなす
股関節は形状でいえば肩関節と似ていて、体重を支持する動きに優れており多彩な動きも行えます。股関節は多軸性の関節。屈曲・伸展・外転・内転・外旋・内旋という6パターンの動きがこなせます。
座っている時間が長いと股関節は固まってしまう
動かさない関節は固まり、可動域【動く範囲】が狭くなる。これは股関節だけではなく、どの関節でも同じこと。仕事の大半はデスクワーク。座りながらテレビを見たり、スマホ・タブレットを長時間見たり、、、。そんな生活の人の股関節はずっと屈曲したまま。
筋肉は屈曲位だとその方向に曲げるための筋肉は硬くなり、反対方向に伸ばす筋肉は弱くなります。また股関節と腰椎は連動しているため股関節の動きが悪いとそれを補うために腰椎が過剰に動き腰痛を招きやすい。腰が反ったり、背中が丸まったりしている人は要注意。
あなたの股関節は大丈夫なのか?簡単なチェックをしていきましょう!
骨盤前傾・後傾タイプの特徴と体への影響
前傾タイプ
○背中や首などに痛みが生じることがある
○下っ腹が出やすくなる
○垂れ尻などの原因になる
後傾タイプ
○下半身の代謝悪化
○ポッコリお腹
○O脚ぎみになるため膝が痛くなりやすい
骨盤前傾・後傾チェック法
1.壁を背中にした状態で立ち、後頭部・お尻・かかとを壁にしっかりとつける。
2.壁と腰の間に手を入れてチェックします。
正常な骨盤の状態であれば、握りこぶしくらいのスペースができます。
【前傾タイプ】
手のひら2枚以上やこぶしが余裕で入る状態
【後傾タイプ】
手のひらであっても手を入れることが難しい状態
前傾・後傾タイプ別ストレッチ法
前傾タイプのストレッチ
骨盤の前傾により腸腰筋【腰のインナーマッスル】、大腿直筋【太もも前の筋肉】などが硬くなりやすいです。前傾タイプの人はしっかりここを伸ばしていきましょう!
片膝を床につき、反対の脚を大きく前に出して膝を90度曲げる。腰を反らさないでまっすぐしたまま状態を前に傾け、後ろ側の股関節を前面ストレッチ。
立った状態で膝を曲げ、かかとをお尻につけるように手で引いて大腿前面をストレッチ。
寝た状態でもオッケー!
後傾タイプのストレッチ
骨盤が後ろへ傾くと、足の後ろ側【ハムストリングス】が硬くなるためここをストレッチして伸ばしてあげることが重要です。
・ハムストリングストレッチ法
仰向けの状態から長めのタオルを使いながら足にひっかけてゆっくりあげながら伸ばしていく。
いかがですか?股関節のケアはぎっくり腰や慢性腰痛などいろいろな症状の予防につながります。
ぜひ自分のカラダをチェックしてストレッチしてみてくださいね。